* Indian Pacific *
2002.12.9(mon)〜12.11(wed)




オーストラリアにある程度滞在していたら必ず聞く言葉。


『Indian Pacific』


シドニーとパース間を結ぶ長距離列車、そう通称「インパシ」!


約3ヶ月滞在したパースからシドニーへ帰る日が来まり、

せっかくなので「インパシ」に乗ろう!と決めたのはいいが

それに乗った人達が口を揃えて、「一度乗れば十分だ!」と忠告してくれた。


それもそのはず!

シドニー〜パース間の走行距離4352Km、乗車時間はナント3泊4日!

4日間も列車の中なのだから、考えただけでもウワァーーーっと叫びたくなる。

しかしアタシはアデレードで途中下車する予定なので、実質は1日短い2泊3日。

「これも旅の想い出!」と自分に言い聞かせ列車の旅を決意する!


列車には当然クラスがあり、一等車クラスになると寝台の個室で

サービスもかなり充実しているらしい。

が、

アタシのようなビンボートラベラーにそんな高い席が買えるわけもなく

一番安い座席(レッドカンガルー)で横になれないまま

アデレードまでの2泊3日をしのがねば・・・。







出発の早朝。

宿泊先のYHAでご飯を炊き、列車の中で食べるおにぎりをいくつか作る。

当然食堂車はあるが何となく料金が高そうな気がして・・・。


部屋で荷物をまとめ、出発の準備をしていたところへ友達が訪ねて来てくれた。

3ヶ月お世話になったYHAのレセプションのおにーちゃんにお礼を言い、

East Perth駅まで友達と一緒に歩いて行く。。。


駅では飛行機と同様、カウンターでチャックインの手続きをする。

大きな荷物は預け入れ、2泊3日で必要な荷物は持込む。

受け取ったチケットをみると「窓側席」。

たびたび席を立つと何かと気を使うので、

「通路側」に変えてくれ言うと快く変更してくれた。。。



ホームに出ると、既に列車が入っていた。


な、長い!!!

恐らく20車両はありそうな勢い!

自分の乗る車両を探してひたすら歩く。




車両はアルファベットで区分されている。

そして、アタシの車両は見事に

一番後ろから3番目。

遠かった・・・。


ちなみに最後尾は喫煙車両。





出発は10:55。

岡山出身の友達とプラットホームで抱き合い、日本での再開を誓う!

幾度となく見送り、見送られ、色んな人と出会ったPerthともこれでお別れ!


「世界で最も住みやすい街」と言われるPerth。


さらば!!





写真は出発前の車内の様子。


座席はちゃんと通路側になっていたけど

この座席で2泊3日かと思うと

複雑な心境。。。





ゆっくりした速度で列車は発車。

通路側に変えてもらったのが幸いしたのか、

隣の席には誰もいなかったので、かなりゆったり座れる。

周りを見るとほぼ満席なのに、ラッキー♪

でも途中で停まるKalgoorlieで誰か乗ってくる可能性はあるが・・・。


しばらくは建物のある景色だったが、2〜3時間も経つと

だだっ広いだけの景色に変わってきた。

ただボーっと窓の外を眺めていたけど、特にすることもないので眠くなってくるw

車両の前方には小さなTVがあり、映画を上映してるようだったが、

なぜかアタシの乗った車両だけはTVが壊れていたらしく、

無常にも砂嵐の画面になったまま、次に気づいた時には電源も切られていたww



寝たり起きたりトイレ行ったりタバコ吸いに行ったり、としているうちに

窓の外は真っ暗な景色に変わっていた。

Perthを出発して間もなく12時間、というところで次の駅「Kalgoorlie」に到着。

ここでは3時間以上停車するので、みな列車を降り思い思いの場所へ。

パブへ行く者、夜中の街を観光する者とさまざま。

アタシも人が流れて行く方向へフラフラ。

夜中の街を歩いてみるが、当然しまっている店が殆ど「何のこっちゃ」という感じw

一応写真を撮ろうとカメラを探すが、列車の中に忘れてきたらしい・・・。

ま、辺りは真っ暗なんでたいした写真も撮れんが・・・。


ハンバーガー屋に入ったりしたけど、一人では時間を持て余すので

ほどほどに駅に戻り、ホームの売店でバナナを2本購入し再び乗り込む。


間もなく夜中の1時、という頃にやっと列車が動き出した。

ここでも隣に誰も乗ってこなかったので、アデレードまでもぉ誰も乗ってくることはない!

超ラッキー♪







出発後はさすがに夜中なので、まわりもだんだん静かになってくる。

アタシは2席確保できたので、真横にこそなれないが

隣に気を使う必要がないので気分的にちょっと楽♪

周りを見ると、みなそれぞれの格好で眠ってる。

友達同士で乗ると、暇な時間をごまかし合えるけど、

寝るときは結構鬱陶しいようだw

座席はそんなに倒せないので、見た感じみんな寝苦しそうではある・・・。



さすがに熟睡はできないまま、外がだんだん明るくなってくると、

ぼちぼち起き始める。

車両の後方に、トイレと簡易シャワーが設けられているが、

ゆっくり浴びれそうもないので、トイレの洗面所で顔を洗い歯磨きを済ませる。


この頃には、列車はインパシ名物(?)のナラボー平原を

のんびりとしたスピードで走っていた。



平原にポツンと存在するCookという駅。

給水などで1時間くらい停車。




そこには気が遠くなるほど広い平原が

ずーーーっと先まで続いている。




かつて数百人がこの村に住んでいたが、

今(2002年現在)は人口2人だけらしい。


ここには小さいながらお土産物屋もあり、

列車が出発するまでは買い物をしたり、

景色を見たりと各々が好きに過ごすことができる!




列車は再び出発。

まだまだ続くナラボー平原を列車は走る。

まだここからもう一晩、この列車の中で過ごさなければならない。

さすがにずっと座席にいても、当然飽きてくるのでこんな時は、

最後尾の喫煙車両に行って気を紛らわす。


色んな国の人が入れ替わり立ち代りタバコを吸いにやってくるので

そこでボーっと座っているだけでもなんとなく顔見知りになったりするww

もちろん、日本人も結構いるので互いのオーストラリアでの予定を話したり、

世間話しをしたり情報交換したりと、なかなか面白い。

時には

「見て見て!あそこに野生のカンガルー!!」と、

どこかの国の人が叫ぶと、みんなで窓に顔をくっつけて見入ったり、

平原に沈む夕日を静かに眺めてみたり、と

長い時間を感じつつも、それなりに楽しい時間が過ぎていく。







しかしさすがに2日目の夜となると、同じ体勢では寝ていられなくなる。

持っていた寝袋にくるまり床部分で寝てみたり、座席で横になってみたり、と

ゴソゴソするが首や腰が痛くてとてもぐっすりとは寝ていられない。




それでも3日目の早朝、まだ薄暗いアデレードの街についに列車が到着。

シドニーまで更にもう1日乗車する人もいるが、アタシのように

ここで下車する人も少なくない。


車内で出会った人に「またどこかで!」と別れを告げ、

預けておいた荷物を受け取る。


ここでやっと2泊3日の列車移動が終わった。









確かに寝ることに関して言えば、正直しんどい。

3日も掛けて行く割には景色の変化もあまりないし・・・。

でも終わってみれば、

それをも忘れさせてくれるほどナラボー平原に沈む夕日が綺麗だったので、

それだけでも乗った甲斐があったように思う。


「一度乗れば十分!」と聞いていた言葉は、

どーやらアタシには当てはまらなかったよう。。。


むしろ「一度は乗っとけ!」と言いたい気分。





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